原子力発電所の問題で世間が盛り上がっている。
僕も学生に、原発をどう思うかとよく聞かれる。
最近僕は返事を少し躊躇してしまう。
学者として責任ある回答ができないということもあるのだけれど、今、何かを言えるタイミングなのかも分からない。
でも、あまりにもあちこちで聞かれるので、そのときに中途半端な答えをして誤解を招くよりは、ここにきちんとまとめて書いておいた方がいいかなと感じるので、簡単に僕の今感じていることを書いておく。
原子力発電所はもしかしたら技術的に未熟なのかもしれない。
もしかすると、今の最新技術は、あるいは将来的にはもっと安全なものになるかもしれないという思いが捨てきれないからだ。
そして、放射性廃棄物の処理問題に関する合意がきっちりとできたとき、僕は原発容認と言うかもしれない。
現時点では、「廃棄物処理方法の確定していない技術を導入することは間違いだった」といつも答えている。
そして、電力会社については、リスクコミュニケーションを行ったツケが、今回ってきているのだとも言っている。
しかし、今の再稼働反対の流れには少し疑問を感じる。
多くの人は「今初めて気づいた」とか「政府にだまされていた」と言うけれど、ほんとうにそうなのだろうか。
僕も含めて、多くの人がずっと原発をやめようよと言い続けてきた。
でもそれに対する反応は非常に小さなものだった。
今、福島原発の事故を目の当たりにして、人々はほんとうに原発のリスクを理解して行動しているのだろうか。
今まで無視していた現実を突きつけられて、闇雲に走り出したのではないだろうか。
僕は今、再稼働に徹底的に反対することは、原発の強行再稼働を招きかねないと思うし、そうなると世の中にはあきらめムードが広がり、2年ぐらいのうちに、この反原発ブームは沈静化するのではないかと思う。
いまやるべきことは、これ以上の新設に反対すること、(よろよろながらも)着々と進む六カ所の稼働を止める流れを作ることだ。
その流れの中で、老朽化した原発をきっちりと引退させていくこと、廃棄物処理の問題に決着をつけることをやっていかなければならない。
