文章の書き方(2020年版)

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Writing a PhD thesis with Org Mode (出所:「Writing a PhD thesis with Org Mode - EMACS-DOCUMENT」、http://blog.lujun9972.win/emacs-document/blog/2018/12/24/writing-a-phd-thesis-with-org-mode/index.html

文章を書くとは

文章を書くことに方法などあるのか?

文章を書く方法というのは、古来いろいろな人が説明してきた。 エッセイの書き方や小説の書き方、小論文の書き方など、検索すればいくらでも出てくる。

谷崎潤一郎の文章読本や本多勝一の日本語の作文技術あたりは定番といえる。

そこに僕がなぜ新たに文章を発表するのか?と考えはじめるとこんな文章を書くのは単なる時間のむだとも思える。

でも、過去の文章の書き方を読んだ人が実際に文章を発表する人になれるのか?というと、それはまた違う。 どうやって文章を書けばいいのかは分かっても、いざ、コンピュータに向かうとぱたっと手が止まってしまう人は多い。

コンピュータの前に紙を手にすべきだ! それはもっともだ。僕も長らくそうしてきた。 でも、今は現代で、さまざまなツールがある。 それを活用しないのはもったいない。

ツールはWordでもよいと思う。 最近のツールはよくできていて、とりあえず使うことは簡単だ。 でも、使いかたを学ばないと、それがほんとうに便利なのかは分からない。 まだなにも学んでいない人は、紙とえんぴつの方が便利だし、エクセルよりも紙と電卓の方が楽なはずだ。

そういうわけで、この一文は、主にツールを使ってどう文章を書くのかに意識を割いて書くことにしている。

自分の手順を作る

どんな文章を書くのか:条件

アウトプット

文章を書く際には、普通、どこに書くのかは決まっている。そういうのがなく、ただ、文章が書きたくなる人というのもいる。 ただ文章を書きたくなる人には3つのタイプがある。ただ書き散らして完成しない人と、書き散らした断片をつなぎ合わせて文章にする人と、適当に書いたものが自然にまとまった文章になる人だ。

本文章は1番目の人には参考になるかもしれない。2番目の人は自分のスタイルが確立している人だろう。3番目の人は天才かとても文章を書き慣れている人だ。この後ろの2タイプの人はここでは対象にしない。

さて、書く場所が決まれば、要件を確認しよう。締め切り・分量・対象とか、文体などだ。こういうものはそのたびに検索するのはめんどうなので、調べた時点(今だ)で、まとめてメモ欄にコピペしておく。後述するがメモ欄のものは最終的に出力されないので、書式などは気にしない。読めればいい。

どう書くのか:ツール

いよいよ文章を書きはじめよう。ここまでに、少なくとも書きたいテーマをみつけて、ネットの情報をざっと眺めるぐらいのことはしてほしい。 なにもない状態では、さすがに文章は書けない。

Emacs

文章をどんなツールを使って書くのか。Wordでないとしたら、なんだろう。文章書きのツールで僕がおすすめするのは、エディタと呼ばれるツールだ。Wordでもいいけれど、おせっかいな機能が多すぎて、いらいらすることが多い。そして、Wordはなんとなく、親しみがわかない。使いこんでも自分だけのツール的なものにならない。 カスタマイズの余地が少ないからだとは思うんだけれど、いつも無味乾燥なイメージがある。

ここはシンプルに、エディタを導入して、それをどんどん自分の手になじむツールに育てていこう。

そこでおすすめするのが、Emacsだ。Emacsはプログラミングのためのエディタといわれているけれど、文章書き用にもとてもよい。 とりあえず、文書ファイルの開きかたと保存方法を知れば使いはじめることができる。

文章はorgという形式がおすすめだ。Emacsでもorgファイルの編集ができる。というか、org形式はEmacsにorg-modeというツールを提供した人が発案したものだ。

org-modeは、アウトラインプロセッサと呼ばれる、文章の構造をツリー型で表示・管理できる機能を持った文書フォーマットだ。

org-modeはEmacsに標準でついてくるし、見た目はただのテキストファイルだ。その証拠にorg-modeにしたがって作成したファイルはWindowsのメモ帳でも読み書きできる。

そういう意味では習うより慣れろだ。まずはEmacsでorg-modeを起動しよう。適当なファイルを作成して、ファイルの拡張子を.orgにしてみよう。 そうすると、画面の下に[org]と表示されたはずだ。これで準備は完了だ。

文章を書く方法

文章を書かない理由

あえてここでは、「書かない」としたが、書けない人も多いだろう。 こういう人はいくつかの類型に分類できる。

  • 何を書けばいいかわからない、書きたいものがない
  • どこからどう書いていいかわからない
  • 書いてはみるものの、まとめられない
  • 時間がない
  • 自分の文章なんて誰も読んでくれない。価値がない

1番目の人はちょっと今回はカバーすることができない。2番目と3番目の人は、以下で説明する、見出しを書きだすのに時間をたっぷりと使えばだいぶましになるはずだ。それと、文章には起承転結とか3幕構成といった型がある。それにあてはめて書くようにすれば、だんだんと慣れてきて書けるようになる。

最後の類型に属する人は、コーチングを受けてポジティブ思考を身につけた方がいい。そもそも、なんらかの文章を書こうと思うのは、既存の文章に飽き足らないからだ。それを満足させるように書いたとしたら、少くとも著者個人にとっては価値のある文章だ。同時に、同じように感じる人はやっぱりいるはずなので、その文章を発表すれば喜ぶ人は必ずいる。

残る時間がないという人について、ここでは詳しく書いておく。

時間を確保する

なんとなく書きたいことが見つかって、ツールの準備もできたら、いよいよ文章を書きはじめることができる。

でも、時間がないと言って、手を止めてしまう人もいる。

これから書く文章にはかなり時間がかかるだろう。でも今はそんな時間ない。

という感じだ。

じゃあどれぐらい時間があれば書けるか、イメージはできているだろうか。自分の執筆スピードを知らなければ、必要な時間は分からない。執筆スピードはある程度文章を書くようになってから、イメージできるようになるものだ。

時間のイメージができたところで、その時間を確保するのは現実問題として可能だろうか?例えば文章書くのに3時間かかるとして、それをまとめて確保できるだろうか? プロの作家でもない限り、かなり厳しい。

僕は子育て中なので、家にいる時間で趣味の文章を書いている。そのなかで、3時間確保なんて無理だ。

そこで、文章を書く時間をざっと3つに分ける。1つ目は企画だ。2つ目は執筆。3つ目は校正と出版(公開)だ。

企画は書く文章の長さにもよるけれど、30分〜2時間かかるだろう。ここにしっかりと時間を確保することができれば、後が楽だ。特に何を書いていいかわからない人はしっかりと時間をかける。ただし、書いていくうちに変わることもあるので、最大2時間ぐらいで止めておく。短かいブログの記事なら10分でもよい。

2つ目の執筆はここで説明する方法にしたがえば細切れにできる。10分あれば、少しかもしれないけれど、執筆を進めることができるようになる。あとは、本文が完成するまで10分を繰り返せばよい。

3つ目は、仕上げだ。書いた文章を読み返して必要に応じて修正して、出版する。この段階は、出版がどういう形態かによって所要時間が変わってくる。ブログ的なものであれば、最低限のチェックでよいし、論文ならかなり大変だ。小説なら表現にまでこだわるだろうから、また、かなり時間がかかる。ただし、この時間も章ごとにチェックするなど、細切れにすることが可能だ。

今説明したように、文章の執筆でほんとうにまとまった時間が必要なのは、最初の構成部分だけだ。 ここは思いきって他のことをあきらめて、時間を確保するべきだ。どうやるのかは、タイムマネジメントの問題なので、ここでは書かない。 2、3段階目の細切れ時間を日常のなかで、確保できないという人は、自分はほんとうに文章を書きたいのか考えた方がいい。

文書ファイルの準備

orgファイルをつくる

ファイルの先頭には、以下の二行をこのままコピーして貼りつける。 この二行は文章を出力するときの設定をおこなっている。

一行目は、メモまたは資料というタグがついた見出しとそこに含まれる本文は出力しないという設定だ。二行目は、見出しにつけられたタグは出力しないという設定だ。

#+exclude_tags[]: メモ 資料
#+OPTIONS: tags[]:nil

Todoリストに登録

文章の執筆は完成までに時間がかかるので、忘れないようにリマインダーを設定しておくのもありだ。

一つは完成までの期限で、もう一つは定期的な執筆を促すものだ。 特に、定期的なリマインダーの方はうっとうしく感じられるけれど、一夜漬けが嫌なら、設定しておいた方がいい。

定期的に思いだすように、書いた日から数日後に再びTodoリストに表示されるようにしている。 僕はこれもorg-modeの機能で管理している。(org-modeのhabitという機能だ。)

準備用の見出し

まずは見出しを2つ作る

見出しは、* (アスタリスクとスペース)ではじまる。 まずは、アスタリスク一つの見出しを2つ作る。1つめはメモとして、ノートというタグをつけて、2つめは資料として、資料というタグをつける。

次のような感じだ。行のあとに:で囲まれたメモと資料という単語がタグだ。タグは、最初の設定で、出力には表示されないようになっている。また、この二つのタグが設定された文章(見出しと本文)も出力しない。なので、執筆中に確認したいばあいなど、この二つを出力に含めたいときは、このタグを削除しておく。

 * メモ                                                                 :メモ:
 * 資料                                                                 :資料:

メモを埋める

見出しを二つ作ったら、この文書で書きたいことや、条件などをメモ欄に記入していこう。 ここは出力されないので、書式は気にしなくてよい。

項目に分けることができるなら、小見出しを作ってまとめておく。小見出しは、*を増やせばよい。今は一番上のレベルにいるので、その下に項目を増やしたければ、*を二つだ。

執筆の条件もここに記入しておく。執筆期限や分量については、依頼を受けたメールをそのままはりつけてもよい。 それから、どんな文脈(仕事、プロジェクト)で書くのかも大切だ。それによって文体が変わったりする。

参考になる文章等は、次の資料にいれる。メモ欄にはその資料から自分がどういうことを書きたいかを中心にメモしていく。

資料を埋める

次に資料に資料集を作ってしまう。執筆前には資料は折りにふれて変更するので、今分かる範囲でじゅうぶんだ。ただ、資料集を最初につくった方が執筆がはかどるのは間違いない。できるだけ、事前に準備しておこう。

資料には、リンク集と、引用部分もまとめておく。僕は、引用部分はorg-modeのメモからコピペすることも多い。メモをevernoteにためている人はそちらからコピペしてもいいし、evernoteのタグを書いておくだけでもよい。

図表もあればここで挿入しておいて、本文で必要になったときにコピペする。

資料は必要に応じて、加除する。特に書いていくうちに、文章の構成が変わるばあいなどは、資料も当然変わる。

本文の構成を作っていく

書きたいことが明確になり、資料がある程度集まったら、構成を考える。文章の構成は、見出しを作っていくことだ。

ここでは、思うままに、見出しを書いていく。次に、一つの文章として、流れがよくなるように、それを並べ変える。並べかたには、正解はない。人によってスタイルがあるかもしれないけれど、たいていは複数の、「流れがいい」並べ方がある。

文章の構成をorgモードで変えるのは簡単なので、今は「現時点で」よいと思う流れで整理しておくとよい。

構成は見出し(章節など)レベルだけではなく、そのなかの段落レベルまで書くようにする。このときに、使用する参考資料があれば、どれを使うか、メモ的に書いておく。書けるなら、段落の中身も書いてよい。ただし、あくまでも箇条書きにとどめて、文章はできるだけ書かないようにする。スピード重視だ。

ある程度見出しを書いたら、資料をコピペして持ってくる。ここまで来るとかなり完成形が見えてきているはずだ。

構成を作りたくない人

書いてみないと、構成なんてわからないという人もいる。けれど、これは文章が書けない人の典型だ。構成がないのに、文章が書ける人は天才の部類に入る。あるいは、よほど文章に慣れていて、頭のなかに構成ができている人だ。

余談だけれど、僕は構成どおりに文章を書くことが苦手だ。綿密なプランを立てても、書いているうちに、それを無視して気の向くままに書きだしてしまう。それで完成すればよいけれど、一度脱線して再構成せずに執筆すると、校正段階で頭を抱えたくなる。

小学校6年生の頃、児童会長をしていた。行事のときなどに、あいさつをするのだけれど、この文章は下書きを作ると先生が直してくれた。そして、これを暗記しておく。そこまではいいのだけれど、いざ、壇上に立ってあいさつをはじめると、「あ、こっちの方がいいかも」なんて思って、暗記した文章を変えてしまっていた。壇上でそれをやると、決められた時間内にあいさつを収めることが難しくなってしまうので、大変だった。こういうのはライブ感のある、とでも表現すれば前向きにとらえられるかもしれない。けれども、話としてまとまっているのは事前に構成をしっかりした方だと思う。

本文を書く

右にアウトラインを表示する

構成ができたら、いよいよ本文の執筆だ。この段階でかなり形はできているので、がしがしと書いていく。 段落に関する見出しを消していく作業といえる。

文章の構成を段落の中身レベルまで書いておくと、ここの作業は細切れ時間でも可能だ。10分あれば、見出しをいくつかつぶせる。構成が書かれていないと、そのたびに、そこになにを書くのかを考えなければならないので、ある程度まとまった時間が必要になってしまう。

最初にまとまった時間をとることで、そのあとに必要な時間を細切れにできるようになる。

さらに便利にしたいとき

検索

作業をしていてわからないことがあるときには、ぱっと検索できるとよい。

普通は、検索語をコピーして、ブラウザに移動して検索語をペーストして検索する。 が、設定すれば、検索語を選択してキーを押せば、検索結果が表示されたブラウザが開くという設定もできる。

こちらもいろいろできるが、今はもうオンライン辞書でよいだろう。

https://qiita.com/styzo/items/24430bf3981b64c36364

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