フェアトレードに少し疲れて。。。

フェアトレードとの関わり

いつ頃からか、フェアトレードに関わっています。
最近では、フェアトレードシティを推進する日本フェアトレードフォーラムで、フェアトレードタウンの認定委員をしている他、研究でもフェアトレードに関わっています。

けれども、最近、ちょっぴりフェアトレードに疲れてきています。
なんというか、出口が見えない感じ。

僕が専門とする経済学では「倫理かインセンティブか」という議論は常に行われていて、適切なインセンティブを設計することの重要性が知られています。
つまりは、「途上国のためを思って消費を変えようよ」と啓発したところで人々は生き方を変えてくれなくて、「こっちが安いよ。(しかも途上国の人々の生活にも良いよ)」と言ったほうが人は動くのです。
「水は低きに流れる」ですね。

では、フェアトレード運動は意味がないのかというと、それはまた別の話で、意味はあります。
消費者が声を上げないと、企業はフェアトレード的な価値観に合った行動を取りません。価格は別にして、フェアな価値観で製造販売される商品も生まれません。
実際、スターバックスが消費者運動による圧力でエシカルコーヒーを売り始めたというのは、有名な話です。

フェアトレード運動が突き当たっている壁

でもね、僕の周りのフェアトレード運動は、そういうものにつながる運動になってるのか?と考えると、はなはだ疑問なんですよね。
どちらかといえば、消費者の啓発活動が中心となっています。

では、啓発された消費者はなにをすればいいのか?
買い物のときに、倫理的な価値観で消費すればいいんです。

でも、それはどのぐらいの頻度なんでしょう?
毎回?
でも、コンビニにそんなにエシカルな商品ないですよね。
スーパーだって同じ。
お金がないなあって思うときもあります。

正直、フェアトレード商品の品質やデザインにがまんできないときだってあります。

そんなとき、せっかく倫理的な消費をやろうと思っても、つい妥協して、手近なものを買ってしまいます。
小さな妥協が積み重なると、そのうち「倫理的?あーあれはもういいよ」手な感じになってしまったりします。
倫理的な消費を全然できてない自分が恥ずかしくて、フェアトレード関係の文書に目を通さなくなるかもしれないです。

僕の学生でフェアトレードに取り組みたい人っていうのはたくさんいます。
そういう学生のほとんどは「まず認知度をあげないと」っていいます。

でもね、認知したところで、行動が変わらなければしょうがないんです。
フェアトレード団体が「行動を変える道筋」を提示してくれないと、「もういいや」的な人が増えるだけなんですよね。

僕自身、団体側の人間だと思っているので、この「壁」を乗り越える道筋が提示できないと、なかなかフェアトレード運動にのめり込めないんですよね。

ファトレード運動を発展させるためには

壁を超えるためには、消費者運動を組織するべきなんだと思うのだけれど、海外のような反対運動はなぜか日本にはなじまないようです。
デモするのも楽しいと思うんだけどね。

不買運動もいいけど、期限とか達成目標を決めないとこれも続きにくい。

いろいろ考えると、フェアトレードに取り組んでほしい企業の株主になって、発言していくのがいいのかなという気がします。
相当なお金が必要ですが、一つのファンドを作って、フェアトレードに関わる人が買えるようにすればよいのかもしれません。
あるいは、それぞれが小口株主になって、会社に手紙を送るのがいいかもしれません。

今、フェアトレードに求められているのは、そんな感じの「企業に提案する」方向での活動ではないかなと最近は思っています。